小学4年生頃に訪れる、学習や精神面での壁を「小4の壁」と呼ぶことがあります。
小1の壁を乗り越えた後に続く小学生での壁ですが、具体的にはどのようなことをいうのでしょうか。
小4の壁は、小1の壁と違った特徴があります。
今までは順調だったわが子の成長も、この壁には戸惑ってしまうことも多いはず。
この記事では小4の壁とは一体どのようなものなのか、どのようにして乗り越えたらよいのかなどを解説します。
小4の壁は9歳の壁とも呼ばれる
小4の壁は9歳の壁、もしくは10歳の壁などとも呼ばれます。小4の壁は、小1の壁と同様「放課後の居場所確保」に加え、「成長とともに生じる問題」もあります。
放課後の過ごし方について、小学校入学時には学童保育に入れるかどうか、といった問題がありました。
しかし、小4になると、いままで入所していた学童保育から退所せざるを得ない状況に追い込まれてしまうことがあります。
これは、優先順位の高い低学年の対象からはずれてしまうためです。かといって小4になったばかりの子どもを、長い時間留守番させておくのは不安ではないでしょうか。
そのため塾や習い事を増やすなどして、放課後の居場所づくりを考える必要が出てくるのです。
また、小4くらいになると心の成長による問題も出てきます。
お友達との付き合い方に疲れてしまったり、理由もなくモヤモヤする気持ちの整理がつかなかったりなどで、親子の衝突などが生じるケースも小4の壁と呼ばれることがあります。
小1の壁との違い
小1の壁では入学前の準備や帰宅時間が早いために生じる、スケジュール管理などの大変さが主だったものでした。
しかし、小4の壁はこの時期に子どもが受ける、困難な状況のことを指すことが多いようです。
内容としては以下のようなものです。
- 授業に追いつけない
- 友人関係に悩む
- 劣等感をおぼえる
- なんだか気持ちがモヤモヤする
今までは順調だった学校生活が上手くいかなくなる、そのような状況が生まれるのが小4の時期だといわれています。
では、どうして子どもがこの時期に壁にぶつかってしまうのでしょうか。以下の章で解説します。
小4の壁|原因5点を紹介
小4の壁の原因は学習や精神的成長によるものなど、さまざまなものがあります。
ここでは主な原因5つを紹介します。
学習が抽象的なものに変化すること
小4になると、学習が具体的なものから抽象的なものへ変化し始めます。
小学校低学年では、「A足すBの答えを求めよ」のように、式が具体的にイメージできる学習がメインでした。
しかし、小4になると小数や分数など、頭ではイメージしにくい学習が始まります。
また、国語でも、物語を読んで感想を言うだけではなく、「どうしてそう思うのか」などの理由を求められます。そのため、「ただ何となく」できていたことが、できなくなってしまうのです。
学習のレベルが格段に高くなったように感じるのは、具体的なイメージとは違う「抽象的」な学習になってくるため。そのような理由から、いままで学習に問題がなかった子でも、難しいと感じてしまうことがあるのです。
自分を客観的に見られることで受ける劣等感
自分を客観的に見ることができることで、他人が自分をどう見ているのかが理解できるようになります。つまり、他人と自分を比べられるようになるということ。
これによって「私はAちゃんよりテストの点数が悪い」「僕はB君みたいにスポーツが上手くない」など自分を下に見てしまう機会が増えてしまうのです。
他人と比べて自分を卑下するようになると、自己肯定感が下がってしまいます。
自分のダメな部分に目が行くようになると、不安になったり落ち込んだり、劣等感を抱えたまま常に生活するようになってしまいます。
劣等感が常にある状態だと、「どうせ自分はダメなんだ」と思うように。何かにチャレンジする気持ちが湧き出ず、無気力になりやすくなってしまいます。
他人と比べて生じる劣等感が常にあると、学習や生活に支障をきたすことがあるのです。
友人関係にトラブルが起きやすくなる環境に変化すること
小4くらいになると、決まった友達やグループで遊ぶことが増えてきます。閉鎖的なグループに変化するため、そのなかでトラブルが起こった場合に、逃げ道を作りづらいといった状況になってしまいます。
低学年のときは誰とでも仲良くできていた子が、突然孤立し始めるのもこの時期。
友達関係が閉鎖的になることでトラブルが起きやすく、悩みが増えることから気持ちが不安定になってしまうことがあります。
放課後の居場所がなくなること
今まで放課後に学童保育へ通っていたのに、退所することになった場合、一人で留守番することになるかもしれません。
放課後は友達と楽しく過ごせていたのに、突然一人になったらさみしくなってしまうのは当然のこと。
大きくなったと思っても、まだ小学4年生です。ちょっとしたストレスを友達との時間で解消できていたものが、子どもによっては抱え込む形になってしまいます。
放課後の居場所がなくなることで、子どもが孤立感を募らせ、心の安定を妨げてしまうことがあるのです。
保護者とのかかわり方が希薄になること
小4の時期になると友達との会話やかかわりが密になってくるため、親より友達を優先することが増えてきます。
また、話をしようと思っても反抗的な態度を取られてしまう、ご飯以外の時間は自室にこもってしまう、などで子どもとのかかわりが薄くなってしまうのもこの時期。
親から離れていくことは成長の証しでもありますが、親もある程度覚悟しておかないと反抗的な態度に怒ってしまったり、さみしくなったりしてしまいます。
このことで小4の壁を感じてしまう親も多いようです。
小4の壁にまつわるSNSの書き込み
小4の壁があるって聞いてたから、
— だりあお (@dariao1986) December 24, 2022
こっちも覚悟決めて向き合っていかなきゃと思ってて、、、😂
私は小学生の頃、壁に正にぶち当たって勉強はついていけずに友達の中でもグループ同士のいざこざがあったりでついていけず。本当にこの頃って色々あるなぁと思ってたんだよね。#小4の壁
「小4の壁」「9才の壁」という言葉が有るくらいで、算数はこなしても中学数学や高校数学でつまづく人は、実は小4でつまづいている、という有名な説があって、小4の算数で何を学ぶのかといえば「分数」。つまづきの根本を遡っていくと、分数問題を単に法則としてしか理解出来ていないケースは結構多い。
— ねどこ (@ckc0323) December 23, 2022
私の会社、時短小3までなんだよね😮💨
— ひなた🐼明るい社畜 (@hinata1537) December 20, 2022
あと2年弱🥹どうしよう😮💨
小一の壁は、学童行ければ意外と回避出来る。どちらかと言うと小4の壁の方が高いらしいよ😇幸い学童が4年まで行けるからまだ何とかなりそうだが。。。悩みしかない。
小4にまつわる投稿の一部ですが、学習面が大切なことや不安になっているなどの意見がありました。大変ですが、しっかり壁に向き合う必要がありそうですね。
小4の壁の乗り越え方
小4の壁は、親子がしっかり向き合うことで乗り越えられます。
そのためにも親が子どもの気持ちや思っていることをしっかり受け止めて、子どもに合わせてサポートすることが大切です。
ここでは5つの例を紹介します。
学習は自信を付けさせることをメインにする
小4でつまずきやすいのは算数です。その際に「ほら、頑張って!」だけではなく「一緒にやってみよう!一緒に頑張ろう!」といった親のサポートがあるとよいですね。
しかし、具体的にどのように進めたらよいのでしょうか。
まずは小3までの学習で、分からないことがないかを確認しましょう。
小3でも簡単な分数や小数の計算が始まります。まずはこれらの計算が問題なくできるかを確認してから、小4の算数にうつります。
持ち帰ったテストなどを見返して、間違ったところを拾い出すと苦手な単元が分かりやすいですよ。苦手なところは何度も繰り返し、分かりづらいところはイラストや図形を使って説明すると理解しやすくなります。
苦手な問題はゲームキャラクターのボスに例えて、「やっつけよう!」というようなストーリーを作れると、やる気を出してくれることがありますよ。
子どもの肯定感を上げるほめ方をする
小4の時期の子どもは、ほかの誰かと比べてしまう傾向にあります。他人と比べることで「自分はダメだ」「どうしてできないのだろう」といった劣等感を感じやすくなるのです。
そのため自分を認めてあげられず、劣等感の固まりのようになってしまう子もいます。親としても同級生と比べるのではなく、子どもの頑張りを見て励まし、ほめてあげるのがベストです。
その際も「前はできなかった〇〇ができるようになったね」「前に間違えた問題が解けたね」といった、具体的な内容を加えてほめてあげると子どもは安心します。
小4なのだからできて当たり前、というようなことでも同じです。
お菓子の袋は食べたら食べっぱなし。前まではなかなか捨てられなかったのに、注意しなくても捨てられるようになった、ということはありませんか?
このような些細な事でも「前と違って〜」とほめてあげると、子どもは認められる気分になります。
誰かが見てくれている、認めてくれている、と感じることで折れにくい心を作ることにもつながるのではないでしょうか。
子どもが話しかけられる雰囲気を作る
小4の時期になると、反抗的な態度を見せる子が出てくるかもしれません。下手に話しかけると「ウザい」といわれて、話にならないことも。とはいえ、ただ放っておくのはNG。
「何かあったら話を聞くよ」という姿勢は取るようにしましょう。
子どもも気持ちが高ぶっているときは、何をどうやって話したらよいのか分からないものです。気持ちが落ち着いて話したいと思ったときに親が突き放していると、子どもの心が閉じたままになってしまいます。
親が見守りながら心の門を開けておくことで、子どもは心のよりどころを感じられるはずです。
また学校と習い事、休みの日はゲーム、といった毎日の流れのなかで話す雰囲気が作りにくい、という場合は、今までと全く違った体験をさせるのもよいですね。
博物館主催のワークショップや近所のお祭り、子供会の行事などに積極的に参加すると、親子の距離が縮まることがあります。
実社会へのつながりを意識できるというのも、体験活動の良さでもあります。
放課後は塾などの習い事へ行かせるようにする
小4になると、放課後時間に一人になってしまう子が増えるのは前述したとおりです。
学童保育がなくなってさみしい、と感じている子であれば習い事や塾へ通うのはいかがでしょうか。習い事によっては、学童保育のように学校へお迎えに来てくれるものもあります。
塾でお友達と一緒に勉強することで、切磋琢磨できるといったメリットも。塾によっては自習室を開放しているところもあるので、親の退勤時間まで塾で自習してもらうこともできます。
習い事や塾は同じ学年の子と同じ目的で頑張れる場所でもあるので、孤独を感じにくく気持ちも安定しやすいはずです。
親子で読書する
読書というと「文章力がつく」「受験に役立つ」といった、学習の一環としてとらえられがちです。もちろん、小4から始まる抽象的な考えを使った学習にも、読書は大いに役立ちます。
しかし読書には、得られるものがほかにもたくさんあります。物語ならばお話しの世界に没頭することで、いい意味で現実逃避ができるのではないでしょうか。
ほかにも物語の情景や登場人物の人物像など、想像力をつける能力もアップします。
しかし、子どもに本を読んでもらいたいと思って買ってきても、読んでくれないご家庭もあるかもしれません。
子どもがなかなか本を読んでくれないご家庭は、親が読書するようにしましょう。子どもは親の背中を見て育つ、といいますよ。
小4の壁にぶつかる前にできることって何かある?
小4の壁を乗り越えるためには、普段から親子のコミュニケーションをよく取ることが大切なのではないでしょうか。過剰に干渉するわけではなく、見守りつつそっと手を差し伸べ、話をよく聞くこと。
上手な距離感をつかみながら子どもに接することで、子どもが抱えている問題にも気づきやすくなります。
また、放課後の時間に子どもが一人になってしまう場合は、自治体のファミリーサポートなどに頼るのも一つの手です。
学習や精神的な壁を少しでも低くしたい場合は、上の章で載せたことを少しずつ進めておくのもよいですね。読書習慣などはすぐにつくものではないので、早い段階で取り組んでおくのがよいのではないでしょうか。読書習慣がついていれば、本から悩みを解決できたり、気持ちを落ち着かせたりできるはずです。
ほかには体験学習など、学校の勉強でやらないような自然体験やワークショップなどに参加するのもよいですね。自然体験をした子は、学習意欲や問題の解決能力が高いといった研究結果もあります。
成長すると、子どもは親と出かけたくないと言い出すことが増えることも。その前に親子で体験学習をして、コミュニケーションをよく取ることで小4の壁を低くすることも可能なはずです。
ほかには体の成長に伴って、ホルモンバランスが崩れることで気持ちが不安定になることもあります。健康的な体を維持するためにも、「早寝早起き」「食事はしっかりとる」といった、生活習慣の見直しもしておきましょう。
小4の壁は精神的な成長のひとつ!お互いを尊重し合い乗り越えよう
小4の壁は、精神的な不安定さや友達とのかかわりなどが主な問題です。
また小1の壁と同じように、放課後をどう過ごすかといったことも、考え直す時期でもあります。今までなかった壁にぶつかると、親子ともども大変な思いをしてしまうかもしれません。
しかし、これは大人になるまでの成長過程のひとつ。親自身も小学生くらいの時期に、精神的な不安定さを感じていた人もいるのではないでしょうか。
自分の体験を思い出しながら共感して、子どもの気持ちに向き合えると、小4の壁を低くすることができるはずですよ。