子育てをしているとき親は子供の気持ちを理解しているのでしょうか。悪いことをしたから叱る、良いことをしたから誉める、などつい0か100の考えになってしまうときはありませんか。「この子はどうしてこんな事をしたんだろう」と考える時間がなかなか取れないと、子供から見ると「話を聞いてもらえないまま怒られる」と感じてしまいます。
今回は実際に子供が持っている悩みや感じていること、親がやりがちな行動を一緒に照らし合わせていきましょう。
子育てで持っている悩みは?
皆さんが子育てをしている中で持っている悩みはなんですか。
- 子供に愛情が伝わっていないんじゃないか
- どうして何度も注意していることが伝わらないんだろう
- 元気がないと感じてもあまり話してもらえない
- 家事だけでも大変なのに余計な用事まで増やされてしまう
- 叱り方が分からない
- 兄弟の子育てはこれであってるのか
これらが親が感じている不安や悩みのようです。
子供に対して叱り方や、自分たちの愛情が伝わっているのかという悩みが多いようです。
親は自分たちのストレスよりも子供がどう感じているのか、常に子供主体で考えています。
子供の悩みは?
子供はどんなことに悩んでいるのでしょうか。小学生と中学生で、持っている悩みや不安は変わっていきます。また、同じ悩みでもそれに対する考え方が変わってるので、小学生と中学生を分けて説明します。
小学生の悩みは?
小学生の中でも低学年と高学年で微妙に変わっているようです。
まずは低学年の子が持つ悩みからお話しします。
低学年の子は、
- どうして勉強しないといけないのか
- 運動が苦手
- テストでいい点数が取れない
- 友達と喧嘩、うまく話しに行けない
- もっと遊びたい
これらについて悩んでいるようです。
悩みもありますが、やりたくないことに対する疑問のようなものです。
では、高学年になるとどんな悩みを持つのでしょうか。
- 忘れ物が多い
- 宿題が終わらない、やりたくない
- テストの点数が上がらない
- 友達と遊んでいたい
- 給食が苦手(食べるのが遅い、嫌いなものが入っているなど)
これらに悩んでいるようです。
どれも学校に関することが多かったり、同じような悩みも入っています。悩みのほかにも気になる点があります。
学校の意識調査で、低学年のころ「家族と過ごす時間が楽しい」との回答が約80%だったのに対し、高学年では「友達と過ごす時間が楽しい」との回答が84%になっています。友達と色んな遊びを知って楽しいんだろうと思いがちですが、高学年の困っていることの中に「自分に正直に動けていない」というものが入っています。周りの言葉を気にし始める時期でもあり、何気なく言われた家族や友達の言葉が心に残っているということでもあります。
中学生の悩みは?
それでは中学生になるとどんな悩みを持つのでしょうか。
- 進路が決まらない(やりたいことがない)
- いじめ
- 恋愛
- 顔や体型など外見
- 性格や癖
- 悩みを相談できない
- すべて否定的に考えてしまう
これらに悩んでいるようです。
中学生になると容姿や服装が目に付くようになってきます。そこから恋愛や人間関係などにつながる為、なおさら悩みに発展しやすくなっています。そしてそういった悩みをもつ女の子は特に相談しずらいと感じてしまいます。
親は悩んでる子供に気づけてる?
実際こういった悩みに親は気づけているのでしょうか。何となく察しているという方もいると思いますが、子供は知られたくないときに本当の気持ちを隠すのが上手です。悩みを誤魔化すためにした行動が親に注意されてしまい、さらに苦しくなってしまうなど悪循環になってしまうこともあります。笑っているから、テレビを見て楽しそうだから、楽観的だからといって悩みがないわけではありません。
子供にどんな対応をしてる?
日頃からどんな態度で子供に接していますか。忙しいときに話しかけられたり、説明しないといけないことを聞かれたりするとつい強い口調になったりしていませんか。とはいえ、良いことをした時やゆっくりできる時には笑い合ったり一緒にテレビをみるなど共有できる時間もあると思います。
そんななんでもない話をしている時から、いざという時に悩みを話しやすくするヒントがあるんです。
それは「相手に興味をもって聞き手に回ること」です。子供が話してくれると聞いているようで別のことに意識が向いていたり、相槌という名のアドバイスになっていたりしてしまうものです。それも子供に興味を持ち、より楽しんでもらえるようにという気持ちから生まれるものなので間違ってなんかいません。しかし、もし自分がただ楽しかったことを報告したいだけなのに「次はこうしてみなよ」と言われると、少し楽しい感情が止まってしまうことありませんか。もちろん気にならない方もいますが、子供は色んな感情が芽生える時期で視線や言行動にとても敏感です。私達が感じていることを、子供は同じ瞬間に倍の感情があると頭に入れておきましょう。
子供は親に対して何を思ってる?
普段ゆっくりしているときや、何気ない会話をしているときは「次はこれを話そう、楽しい、落ち着く」といった安心の場となっています。また、親に対して何をすれば喜んだり誉めてもらえるんだろうなど考えています。子供も親を大切に思う気持ちがちゃんと心にあります。
そして親が忙しいときに強い口調で物事を言われても、子供はそこまで気にしてはいません。とはいえ自分の体調や気持ちが下がっている時などは「私(僕)だって今聞かないと遅れちゃうのに」「そんないい方しなくてもいいのに」など、何気ない言葉でも心にグサッと刺さってしまいます。そして一度刺さると普段笑っていても張り付いて抜けない棘のような状態になってしまいます。それが、自己肯定感やネガティブ志向への積み重ねとなっていきます。こればかりはお互いのタイミングによって変わってしまうことなので難しいですが、普段からつい強い口調になってしまうタイミングを自分で把握しておくことが大切になってきます。
子供が悩んでるときしていること
悩みに気づいたとき、子供にどんな対応をしていますか。2人の時に悩みはないか聞いてみる、気づいたときにその場で聞く、あえて放っておくなどあるかと思います。悩みを話してくれた子に対してつい言ってしまいがちなのが「でも〇〇ちゃんもこうだったんじゃない」のように否定の言葉が入る、相手をかばうようなニュアンスになることです。さらに「こうしてみたら」と提案します。しかし子供からしたら、その提案はとっくに頭に浮かんだものばかりです。それができないから悩んでしまうのです。親としては経験上一番いいと思う提案でも、今の自分だから行動できることが前提に含まれていることが殆どです。実際自分が子供の時にできる事だったかも含め、同じ目線で聞くことも大切です。そして、中にはアドバイスが欲しいわけじゃない子もいます。ただ「そうだよね、そんなことがあったんだね」と共感してほしいだけということも多いです。まずは9:1の比率で聞き手に回ってあげてください。
子供が悩んだ時してほしいこと
悩みを持った時、子供は親に対してどんなことを思うのでしょうか。
小学生の間は、大人でいうところの「愚痴」を聞いてほしいというのが多いです。そしてどうすればいいのかわからないときは「どうやるの、どうすればいいの」と聞いてきます。もちろん自分から聞けない子もいますが、そういう時は「お母さん(お父さん)だったらこうするよ」と自分だったらどうするかを伝えてあげるといいです。「こうしてみなさい、こうするといいよ」というと、後日行動した結果を言わなきゃと感じる子もいます。そうすると元々の悩みにプラスでプレッシャーものっかってきてしまいます。「物は言いよう」とありますが、些細な言葉で受け取り方は大きく変わってきます。
そして中学生になると、もはや話を聞かれるのも嫌になってしまいます。というのも理由はいくつか挙げられます。
- まずは自分で解決したい
- 人に話せる内容じゃない(いじめや恋愛など言いづらい)
- そもそも家族に対する悩み
- 心配をかけることに対する不安
これらの理由から話したくない、話せないといった気持ちになっています。年齢が上がるにつれて悩みも学校(宿題や友達、遊び)などのように単純な感情ではなくなってきます。その状態の時に小学校と同じような対応をしても避けられてしまいます。
コミュニケーションで気を付けること
それではコミュニケーションをとっていく中で気を付けたいことを紹介します。
最初は何度も出てきますが、「相手の話をしっかり聞いてあげる」です。子供は少しかぶせ気味で相槌を打ったり、話しかけたりすると「流されているのでは」と感じてしまいます。小学生がここまで考えられないだろうと思いますが、流されているという感情ではなくても「なんかもやもやした」などの曖昧な不安を感じます。
そして2つ目は「子供を否定しない」です。子供は何か考えや感じたことがあってその行動をしています。大人から見たら「なぜそんな考えになるんだ」ということがほとんどです。大人にはない発想から行動をしているので、ただ「危ないからダメ」と注意するのは子供にとっては納得がいきません。イラっとした感情を抑え、一度なんでこの行動をしたのか聞くと、案外きらきらした表情で「これはこうなの!だからこれをしてあげたの!」と嬉しそうに話してくれることがあります。そんな時に怖い顔をして注意されたら子供は悲しくなってしまいます。大人で言う「クッション言葉」だと思って理由を落ち着いて聞いてあげましょう。その後に「でもこれをするとこうなっちゃうんだよ」と教えてあげると時間がかかっても子供は理解して辞めるようになります。
そして3つ目は「子供の顔をしっかり見て話す・聞く」です。子供はちゃんと目を見て落ち着いたトーンで話をすれば、「これは大事な話なのかもしれない」とちゃんと理解することができます。とはいえ目の前の楽しいことや新しいことに夢中で落ち着かないこともあります。そこで親まで感情的になって抑えようとしてしまうと子供も意地でも楽し方に行こうとしてしまいます。ここは文字通り大人の対応で一呼吸おいてから、しっかり顔を見て話しかけるようにしましょう。
子供を叱るときにしがちなこと
子供を叱るときはどうしても声が大きくなったり強い口調で言ってしまいますよね。そして話を最後まで聞かずについ食い気味で正論を言ってしまう。今までお話してきたのでもうお分かりですよね。子供からしたら分かるようで分からないことで時によっては怒鳴られる。内容なんて入ってこないまま恐怖心や悲しみなどネガティブな感情が植え付けられてしまいます。
親が叱っているときに感じること
では親は叱っているときどんなことを思いながら話しているのでしょうか。
- この先もできないと心配
- 怒りたくて怒っているわけではない
- どうしてできないの(何度も言っているのに、いらいら)
- 今したことだから今言わないと
これらを感じている人が多いです。その他にも怒っているとはいえ可愛くて仕方がないのも事実です。怒られているときの表情やダダのこね方などが可愛くて笑ってしまうのをこらえるのに必死になる時もあります。親は常に子供のことを考えての言行動なんですね。
叱られているときに子供が感じること
次は子供が叱られているときに感じていることです。
先ほども出てきましたが、何より子供は「怒られている内容を理解できていない」事が多いです。大きな声でいろいろ言われても威圧感しか感じることができません。そればかりか「何て言えばいいか、何を言っても言い負かされてしまう」という混乱で涙が出てきます。子供はただ嫌で駄々をこねているわけではないんです。そして「どうしてこういう時は話を聞いてくれないんだろう」という疑問が出てきます。泣きながらでも、反抗しながらでも、落ち着いてから思い出した時などに「どうして、なんで」、そして言い返せなかった悔しさなどが入り混じって泣き出してしまいます。そのため、子供が泣きだした時は、一度自分は子供の話を聞けていたか、意味もなく声が大きくなっていないか、同じ目線ではなしをしていたか(しゃがむなど高さ的なものと志向的なもの)を振り返り一呼吸おいてから話を戻すことを意識するといいです。
すれ違いを回避するためには
このような感じ方によるすれ違いが起きないためにはどうすればいいのかお話ししていきます。
1つ目は何よりも「親が感情的にならないこと」です。子供は怒られたらすぐ感情が出てきて反抗したり泣くたりします。そこで親も一緒になって感情を出しすぎてしまうと誰も止めることができません。そして「ただ怒られた」とだけの記憶になってしまいます。何をしたから怒られたのかという親が一番伝えたかったことは子供には残りづらいのです。
2つ目は「子供の話を最後まで聞くこと」です。これは社会人でも基本になってくるところです。人の話を聞くということはただ我慢することではありません。この子が何を思っているのか、今どんな気持ちで話してくれているのかを目と耳と心でくみ取ってあげることです。
そして3つ目は「質問は適度にすること」です。これは話を聞いたからこそ出てくる課題でもあります。「それを言うならどうしてこれをしたの」「今することじゃないよね」など質問攻めにしたり、正論を言ってから「正しいよね?」というようなニュアンスで聞かれると違うと言いたくてもさらに追いつめられることを子供は分かっています。そのため結局子供は意見が言いにくい状況になってしまうのです。
とはいえ親も自分が子供のころに同じように教育を受けてきたため「これが普通、当たり前」と思い込んでいるのです。無意識のうちに叱り方や誉め方が親に似てきてしまいます。もちろん自分の親の教育が悪いなんてことはありません。実際に学校に行って働いて、しっかり今も子育てをしています。これほど立派なことはありません。ですから、そこにプラスアルファの考えを持つようにします。自分の親の良かったと思うことは残しつつ、子供の目線で考えたときに「これは嫌だった記憶がある」という部分を変えていきます。そうすることで、子供によりあなたの考えが伝わるようになります。
まとめ
子育てをしている皆さんが今まで感じてきたことを思い出し振り返る時間を一度とってみてください。アルバムを見ながら「この時こんなこと思ってたな」など振り返るだけでも、子供に対する見え方が変わってきます。そんな時間なんてないという方でも、寝る前のほんの数分頭の中で思い出してみるのも効果的です。
今回のポイントは、「子供の話を最後まで聞く」「同じ目線に立って会話をする」「質問は追いつめるものではないかを考えてから」「感情的にならない」です。親は子供を理解しているようで不安やネガティブなことに対しては過小評価しがち、楽観的なことに対しては過大評価しがちということ言うことを頭に入れておきましょう。