ボタンを押すだけでパンを焼いてくれるホームベーカリーは、とっても魅力的な家電です。
焼きたてのパンの香りで目が覚める生活に憧れてホームベーカリーを購入する方も多いのではないでしょうか。
ところが、ホームベーカリーは買って後悔した家電にランクインすることが多いのも事実です。その理由の多くが、パン作りの習慣が続かないことです。
今回は、ホームベーカリーでのパン作りを5年以上続けている筆者が、ホームベーカリーの仕組みやメリット、続かない理由とその対応策をまとめてみました。
- ホームベーカリーを購入するか迷っている
- 買ってもすぐ飽きるのではないか心配でなかなか購入に踏み切れない
という方は参考にしてみてくださいね。
パン作りの基礎知識とホームベーカリーの仕組み
ホームベーカリーは、パンの炊飯器のようなイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。
まずは、一般的なパンを作る工程とともに、ホームベーカリーの仕組みについて簡単に見ていきましょう。
パンの基本材料は4つ
パンを作るための基本材料は、以下の4種類です。
- 小麦粉
- 水
- 塩
- イースト
それぞれの役割を説明していきます。
小麦粉
パンの原材料である小麦粉は、パンの味と食感を決めます。パンの骨格をつくるとも言われます。
水と一緒に混ぜてこねる事で小麦のタンパクが水と結合し、グルテンが形成されます。グルテンは、パンがふっくらと膨らむのに欠かせないものです。
小麦粉はたくさんの品種があり、味や特徴がそれぞれ違います。小麦粉をいろいろ変えてみるだけで、色々なパンの風味を楽しむことができます。
水
水は小麦粉と合わせることでグルテンを形成して、パンのふくらみを助けます。含まれる水分量によって、パンの質感が大きく変わります。
牛乳や卵を水分としてパンに加えることもあります。
塩
塩の役割は、塩味をつけることだけではありません。生地のグルテンを引き締めてコシを強くする大切な役割があります。
必要な量としては少量ですが、パン作りには欠かせない材料の1つです。
イースト
イーストは、英語では「酵母」といいます。
イーストがなければパンはふくらみません。パンがふっくらとふくらみ、独特の風味を楽しめるのはイーストが働いているからです。
よく売られている粉末のドライイーストは、パンの発酵に適した酵母菌だけを集めて純粋培養したものです。
パン作りでよく使われる副材料
基本の材料を見てきました。次に、パンを作る上でよく加えられる材料を見ていきましょう。これらの材料は必須ではありませんが、一般的な美味しいパンには使われていることが多いです。
- 砂糖
-
生地に甘みをつけるのはもちろんですが、砂糖はイーストの栄養源となり発酵を促進させてくれます。
また、焼き上がりの色づきをよくする働きもあります。 - バター
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バターを入れるとパンがよく膨らみ、ボリュームアップします。風味やコクを味わえます。
- 牛乳
-
牛乳を加えると風味がよくなり、パンの色づきもよくなります。水の代わりに使用します。
- 卵
-
卵を入れると、卵独特の風味を出すことができます。
適切な量を記事に入れることで、より柔らかく、ふっくらとしたパンに仕上げることができます。
パン作りの工程
次に、パンを作るときの基本の工程を見ていきましょう。
一般的にパンは焼きあがるまで3〜4時間、レシピによってはそれ以上の時間がかかります。
- こねる
- 一次発酵
- ガスぬき
- ベンチタイム
- 二次発酵
- 焼成
簡単に説明します。
- こねる
-
材料を計量して合わせたら、生地がまとまるまで混ぜて、しっかりとこねます。こねることで、小麦粉内にグルテンが形成されます。
パンを上手に膨らますためには、この工程が非常に大切になります。
手ごねで美味しいパンを作る場合は、生地に合わせたこね方や終わりの見極めの練習が必要になってきます。ホームベーカリーの場合は、すべて機械が自動でこねてくれます。
- 一次発酵
-
生地をこね終わったら発酵させます。25℃以上温かい湿度のある場所で、生地を置いておくと発酵します。
イーストによって炭酸ガスが発生し、そのガスがグルテン組織に入ることで生地が1.5倍〜2倍の大きさに膨らみます。
- ガス抜き
-
発酵して膨らんだ生地を優しく潰して中のガスを抜きます。
生地内に充満したガスを放出させ、新たに酸素を取り込むことでイーストが活性化します。
- ベンチタイム
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生地を丸め直し、乾燥しないようにしながらしばらく休ませます。
この工程により、生地の伸展性を回復させて成形しやすくなります。
- 二次発酵
-
生地を成形して、再度発酵させます。1.5倍〜2倍に膨れ、パンの最終的なボリュームが決まります。
- 焼成
-
適切な温度で焼き上げます。
ホームベーカリーでは、この工程をすべて機械の中で進めています。
内釜の中についているパン羽根を動かすことで材料を混ぜたり、生地をこねたりしてくれます。その後、庫内の温度を管理して発酵させ、最後に一気に全体を焼き上げる事でふっくらと美味しいパンを作ります。
中には適切なタイミングでイーストを投入したり、室温に応じて庫内の温度や発酵時間を微調整して生地をより上手に膨らませてくれる高機能な機種もあります。
ホームベーカリーでパンを作るメリット
ここで、ホームベーカリーを生活に取り入れるメリットについて考えてみましょう。
- 焼き立てパンが食べられる
- 添加物不使用でパンが作れる
- 自分好みのパンにアレンジできる
- 食パン以外に菓子パンやお餅も作れる
以上の4点を説明していきます。
焼き立てパンが食べられる
ホームベーカリーの1番の魅力は、なんと言っても焼きたてのパンが食べられることです。
焼き上がった直後のパンは柔らかくて、おいしさも格別です。
ホームベーカリーの多くがタイマー機能付きなので、前日の夜からセットしておけば、朝食に焼きたてパンを食べることもできます。家中に立ち込めるパンの香りも楽しめます。
添加物不使用でパンが作れる
ホームベーカリーには、添加物のない安全なパンが自分で作れるというメリットもあります。
スーパー等で売られているパンは、材料の安全性について議論されることも多いです。例えば以下のような添加物や成分は、避けたいと考えられている方も多いかもしれません。
- イーストフード
- 乳化剤
- マーガリン
- ショートニング
- ファッドスプレッド
- 輸入小麦の残留農薬 など
ホームベーカリーで自分で作れば、材料を全部自分で選ぶことができます。普段からパンを食べている家庭にとっては魅力的な選択肢ですね。
自分好みのパンにアレンジできる
ホームベーカリーでパンを作ると、粉や材料を好みのものに変えたり、工程の途中で生地にくるみやレーズンなどを練り込んだり、アレンジも自由自在です。
また、糖質制限をしている人にぴったりの低糖質パンや、小麦アレルギーに対応した米粉パンを作れる機種も多くあり、健康志向に合わせたパンを作ることもできます。
食パン以外に菓子パンやお餅も作れる
ホームベーカリーは食パン以外のものも作ることができます。
機種にもよりますが、パンの生地だけを作って自分で好きな形にして菓子パンや惣菜パンを作ったり、生チョコやケーキなどのお菓子類、お餅、甘酒なども作れるものもあります。
食パン以外にもレパートリーが広がるのは嬉しいですね。
ホームベーカリーでのパン作りが続かない理由と解決策
魅力的なメリットがたくさんあるホームベーカリーですが、だんだんと使う頻度が減り「買って後悔した家電」と言われることが多いのも事実です。
ホームベーカリーでのパン作りが続かない理由、つまりデメリットと思われる点をいくつかあげてみました。
- 材料のセットが面倒
- コストがかかる
- 焼きあがるまでに時間がかかる
- 1斤では足りない
これらのデメリットは、機種の選び方や考え方を変えることで対処できる場合もあります。それぞれ見ていきましょう。
パンの材料のセットが面倒
時間のかかるパン作りの工程を全て請け負ってくれるのがホームベーカリーの魅力ではありますが、開始ボタンを押すまでの準備は全て行う必要があります。
主に材料を揃えることと、材料のの計量です。
パン作りは一つ一つの材料の重さをキッチリと計っておく必要があります。これが面倒だと感じてしまうと長続きしません。
ホームベーカリーを使わなくなる大きな理由の一つだと考えられます。
そうならないようにお勧めするのは、パンの材料をセットする仕組みを作ってしまうことです。仕組みを作って習慣化してしまえば、手が勝手に動くようになるのでハードルが下がります。
- 計量に使う道具はいつも同じものを使う
- 慣れるまでは同じメニューを何度も繰り返し作る
- 定期注文するなどして材料を切らさない
- 夕飯の片付けのついでにホームベーカリーの予約を済ませると決める
上記は簡単にできる仕組み化の工夫です。よろしければ参考にしてみてください。
コストがかかる
ホームベーカリーで食パンを焼いた場合、強力粉・砂糖・塩・バター・イーストを使用します。材料を安く揃えたとしても、毎回材料費として120円〜150円ほどかかります。
スーパーの大量生産のパンに比べればコストがかかってしまいます。パンを安く食べたいと思ってホームベーカリーを購入した方にとっては、がっかりする結果かもしれませんね。
そこでおすすめなのは、材料を見て比べてみることです。
スーパーなどで売っている激安パンの原材料を見てください。本物のバターを使っているものはなかなか見つけられないはずです。
添加物を使わず、材料にこだわって作られているパン屋さんのパンと比べたら、ホームベーカリーのコスパの良さがお分かりいただけるのではないでしょうか。
焼きあがるまでに時間がかかる
パンを作るには多くの工程があり、3〜4時間はかかってしまうものです。
それはホームベーカリーを利用しても同じです。「パンを食べよう」と思ってから材料をセットしても、食べらるのは数時間後になってしまいます。
ここはぜひ、タイマー機能を活用しましょう。
機種によって焼き上がりまでの時間数を設定するものと、焼き上がり時刻を設定できるものがあるので、購入前にチェックしておきましょう。
1斤では足りない
焼きたての食パンはふわふわで柔らかいので、市販の食パンよりたくさん食べられてしまいます。家族が多いと「1食に1斤では全然足りない!」という場合も十分あり得ます。
そんな心配がある方は、一度に2斤分のサイズのパンが焼ける機種を選択肢に入れるのもおすすめです。
実際に、筆者は乳幼児を含む4人家族ですが、パンを焼くと毎回1斤のパンを完食してしまいます。子供たちがもう少し大きくなったら2斤タイプに買い換えることにしています。
美味しいパンが食べたい方におすすめのホームベーカリー
ホームベーカリーはさまざまなメーカーから販売されており、どんな機種を買えばいいか迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。
「とにかく美味しいパンが食べたい」「予約機能を使って朝に焼きたてのパンを食べたい」という方には、パナソニックのホームベーカリーをぜひおすすめします。
パナソニックのホームベーカリーはいくつか種類がありますが、どれも多くの販売サイトで上位にランクインしている人気の機種です。
小麦の良い香りがしっかりと感じられる、カリカリ・ふわふわ・モチモチのバランスの取れた美味しい食パンが食べられます。
また、10分ごとに時間を設定できる予約機能や、イーストの自動投入機能など高機能で使い勝手が良く、パン作りを続けていきたい方にはぴったりの機種と言えるでしょう。
その他にも以下の点でおすすめです。
- 動作中の音小さく夜間に動いても気になりにくい
- 生食パンや低糖質パンなど、幅広いメニューのパン作りを楽しめる
- 少ないイーストで温度管理をしながら作る「パン・ド・ミ」が絶品
とくに時間をかけて発酵させて作る「パン・ド・ミ」は本当に絶品で、何度も食べたくなる美味しさです。パン好きの方にはぜひ試していただきたい一品です。
最後に:ホームベーカリーでパン作りを続ける秘訣
最後に、ホームベーカリーでパンを作り続けるために、筆者が心がけている具体的な対策をご紹介します。
- ホームベーカリーの定位置を作る
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ホームベーカリーは、ある程度場所をとる家電ではありますが、しまい込んでしまうと「出す・しまう」の一手間加わることになり、3日坊主になりやすいです。カップボードの上に常に出しっぱなしにしています。
- 電源コードは常に差しっぱなしにする
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出しっぱなしにするのと同様に、コンセントも挿しっぱなしにしましょう。
- 材料を切らさない
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材料が1種類でも足りないと、パンは作れません。いつでもパンのセットができるように、常に材料は切らさないようにしています。
- パンの仕込みは他の家事のついでに終わらせる
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予約機能を活用して朝に食べることが多いので、夜のキッチンリセットと同時に計量をしてしまうことに決めています。
- 家族に手作りパンを気に入ってもらう
-
家族がホームベーカリーのパンを食べたがるのも継続の秘訣となっています。
ホームベーカリーは、少し導入するのにハードルの高い調理家電かもしれません。しかし、工夫次第で暮らしにちょっとした楽しみを作ってくれます。
この記事が、少しでもホームベーカリー活用のヒントになれば幸いです。