ビジネスシーンでよく用いられる「ドキュメンテーション」という言葉。
コンサルや事業企画ポジションで業務を行っている方からすると、「ドキュメンテーションね。」となりますが、意外とビジネスの専門用語なのです。
ここでは、ドキュメンテーションとは何か、からドキュメンテーションのコツ、そしてドキュメンテーションスキルを高めるための方法をご紹介いたします。
ドキュメンテーションとは
一般にドキュメンテーションとは、パワーポイントやワードなどのツール上に文章や絵を使ってわかりやすく表現することを示します。
注意としては、文章を書くだけのスキルをドキュメンテーションと言うわけではない点です。
表やポンチ絵などを駆使して、伝えたい内容をわかりやすくまとめることをドキュメンテーションというのです。
ドキュメンテーションを行う目的
ドキュメンテーションを行う目的は、短い時間で要点をわかりやすく伝えることです。
特に、自分よりも忙しい相手やビジネス上重要な役割を担っている相手に対して何かを説明する際にはドキュメンテーションが求められます。
または、調査内容の成果物として納品する資料を作成することをドキュメンテーションと表現することもあります。
ドキュメンテーションが求められるビジネスシーン
ドキュメンテーションが求められるシーンはエグゼクティブ向けに説明を行うときであることが多いです。
他にも、参加者が多いミーティングでは参加者の認識を揃えるためにもあえてドキュメンテーションを行う場合もあります。
また、クライアントビジネスを行う場合は、クライアントへの説明を行う際にはドキュメンテーションが必須となります。
ミーティングにおけるドキュメンテーション
ミーティングは納期や予算の話から、特別な議題があって議論する場合と様々なシチュエーションで開催されます。
例えば納期に関して議論する場合は線表を作成し、議論すべき項目は予めまとめた上でドキュメンテーションを実施する方が会議の効率がよくなります。
IT関連のプロジェクトの現場では、いわゆる要件定義を実施する際に仕様の確認を求めてドキュメンテーションを実施する必要があります。
ドキュメンテーションとプレゼンテーション資料の違い
プレゼンテーション資料の作成とドキュメンテーションは読ませる資料か否かという点で大きな違いがあります。
ドキュメンテーションとして作成されたものは、読み物としても完結しているので、第三者による説明がマストではありません。
コンサルタントが作成する資料はドキュメンテーションと呼ばれますね。
一方プレゼンテーション資料はビジュアルが第一になっていて、発表者が目立った上で伝えたいことを伝えることが目的とされます。
外資系の企業のCEOがテクテク歩きながら格好良く発表を行うのはプレゼンテーション資料に分類されます。
ただ、この違いは明確にビジネス業界の中で定義されているわけではないので、相手が求めるドキュメンテーションが何を意味しているか、しっかりとすり合わせを行っておくのが無難と言えます。
ドキュメンテーションのコツ
さて、なんとなくドキュメンテーションの全体像に関して説明いたしましたが、いかがでしょうか。
じゃあ具体的にどういう風にドキュメンテーションを実施したら良いか悩みどころですね。
ここからはドキュメンテーションのコツについて解説していきます。
準備のコツ
まず、ドキュメンテーションにおいて最も重要なことは準備です。
そのドキュメンテーションを誰に対して、何のために行うかしっかり整理して書き出しましょう。具体的であればあるほどよいです。
よくある失敗例としては、誰向けのものかわからず、上司の指示通りとりあえず資料を作ってしまうことです。
「作りながら考えればよいか。」とえいや!で作り出してもよっぽどの天才で無い限り道半ばにして支離滅裂な資料が完成してしまいます。
まずは「誰に対して」のドキュメンテーションであるかを明確にしてどういうドキュメンテーションを行うべきであるかを確定させましょう。
レイアウト
次に、ドキュメンテーションにおいて重要なことはレイアウトです。言い換えると詳細なアウトプットのイメージを持つこと、とも言えるかもしれません。そもそもパワーポイントか、ワードか、エクセルか、はたまた別のツールを使って作成するかも決めてしまいましょう。
こちらも具体的に手書きでアウトプットのイメージを書いてみることをおすすめします。
レイアウトを手書きで書き起こせない場合、アウトプットのイメージが固まりきっていないため、資料作成に取り掛かっても失敗に終わる可能性が高いです。
レイアウトの作成は自由度が高く、最も難しいと言ってもよいかもしれません。
手が止まってしまった場合はネットの画像検索で同じような目的で作成されている資料を見つけて、それを参考にレイアウトを完成させることをおすすめします。
基本的にこの世で自分が初めて作成する類のドキュメンテーションは存在しません。
ネット上に存在する優秀な方々の知見を可能な限り参考に、自分のオリジナリティーを築き上げていきましょう。
色の使い方
ドキュメンテーションにおいて、資料の雰囲気を決める最も重要な項目は色です。
多くの場合、企業では企業ごとにイメージカラーが定まっているので、それをそのまま利用してドキュメンテーションを行うのが無難と言えます。
企業にイメージカラーが定まっていない場合、上司に確認するのも一つですが、コーポレートサイトを自身で確認して、イメージカラーにあたりをつけて作成することも間違いではないアプローチです。
とは言え、大企業ではデザインガイドが定められているケースも多いので、デザインガイドに則ってドキュメンテーションを行うと、色使いも充分なものになります。
自身で一からカラー選定を行う場合は、まずはメインカラーを決めることをおすすめします。
メインカラーはその資料の文字通り「色」を決めることになるので、慎重に選定すべきです。
知的なイメージを与えたい場合は濃い青系、高級なイメージは黒系のように色ごとのイメージも参考にするとよいでしょう。
メインカラーを決めた後はアクセントカラーを決めると資料が映えることが多いです。
アクセントカラーには一般的に色相環で言うところの捕色に近い色が選択されます。
その他サブカラーも頭の中でなんとなくイメージしながらドキュメンテーションを行うと一貫性のあるドキュメンテーションが可能となります。
NG例としては、数ページにまたがる資料で、ページごとに色使いが異なるケースが上げられます。
資料を通して一貫性が無い色使いは見るものに不安定さを与え、どれだけ素晴らしい文章が記載されていても、その文章を読む気力を失わせるに足るものとなってしまいます。
フォント
ツールを使ってドキュメンテーションを行う場合、フォントにも注意しておく必要があります。
こちらも社内でデザインガイドがある場合はそれに則り、顧客への提案資料とする場合はその顧客にあったフォントにすることが求められるでしょう。
一般にビジネスシーンにおいてはメイリオフォントを使用していれば問題なく、より厳かなイメージを与えたい場合は明朝体ベースのフォントを利用することもあるなど、場合によって一定の使い分けがなされます。
注意点としては、フォントの変更を後から行った場合は資料全体の見栄えが変わってしまうことがあることが上げられます。
極力ドキュメンテーションに着手する前にフォントタイプは決めておいた方がよいでしょう。
また、フォントを決めるにあたってフォントサイズも考えなくてはなりません。
フォントサイズは1つの資料の中ではあまり複数のフォントサイズを利用しないことが鉄則となっているので、いくつかサイズを決めて行った方がよいでしょう。
よくある例としては、全て18ptにして、注釈だけ10ptにする、といった感じです。
資料の提供先に高齢の方が多い場合はフォントサイズを少し大きめに設定するなど、「誰が読むか」に依存される部分でもあります。
ポンチ絵
パワーポイントやエクセルを使ったドキュメンテーションを行う場合、どうしてもテキストだけでは説明が難しい場合があります。
その場合、利用されるのがポンチ絵と呼ばれるものです。
ポンチ絵は議論したい概略を抽象化する際に用いられ、ビジネスサイドで全く使わないということはおおよそありません。
ポンチ絵が必要となる場合も重要なことは、まず闇雲にツールを使ってポンチ絵を書き始めないことです。
一旦自分の頭で考えた上で、手で書き出してみて、そのポンチ絵が妥当か否か自分の判断で確認してみること重要です。
自分の頭でポンチ絵の妥当性が充分に確認できた上でツールを用いてPC上に書き出してみると、一定のクオリティーで描くことが出来ます。
PC上にポンチ絵を描き出す際には、パワーポイントのアイコンや図形ツールを利用して描くことをおすすめします。
これらを利用すると、エグゼクティブ層向けであっても上司に向けであっても問題がないクオリティーのポンチ絵を描くことができます。
ドキュメンテーションスキルを高めるために
ドキュメンテーションスキルをさらに高めるために、どのようにアプローチしていけばよいでしょうか。
デザインを学ぶ
まず、デザインをしっかりと勉強するとドキュメンテーションのクオリティーがグッと上がることが多いです。
インターネットや書籍を利用して、デザインに関しての論理を頭の中に入れ込むとレイアウトや色使いに関して全て自分の言葉で説明出来るようになります。
「〜を行うために〜というレイアウトにしている」や、「〜をより強調するために〜色を採用した」のように論理的にドキュメンテーションを行うことが出来るようになります。
パワーポイントを使ったドキュメンテーションに関しては各出版社から様々な書籍が発行されています。
中でもおすすめなのが、PowerPoint資料作成 プロフェッショナルの大原則 という本です。
具体的なデザインのサンプルから、考え方まで網羅されているので一度目を通しても損はないでしょう。
また、デザインそのものの理論を学ぶという意味ではノンデザイナーズ・デザインブックという本がおすすめです。
非デザイナーが最低限押さえるべきデザインの理論が例とともにわかりやすく解説されています。
自身のドキュメンテーションに自信が無い方はこのような書籍も参考に一度デザインを学んでみることをおすすめします。
業界知識、ドメイン知識を増やす
ドキュメンテーションがうまくいかない場合、その業界知識と専門領域の知識(ドメイン知識)が足りていないケースも多いです。
IT業界の場合は、システム開発全体の流れから個別の技術の知識までしっかりと理解していないと相手を納得させるドキュメンテーションは出来ません。
また、例えば人事労務に関連するシステム開発を取り扱う場合、システム開発に加えて人事労務のドメイン知識も充分に理解していないとドキュメンテーションのクオリティーは上がりきりません。
実際の現場ではドメイン知識に関しては担当者がいる場合もありますし、全てを自分で理解しなければならないケースは現実的に考えにくいですが、とは言え、業界知識、ドメイン知識無くしてドキュメンテーションのクオリティーは上がりません。
顧客やエグゼクティブ層向けのドキュメンテーションを行う場合、業界知識、ドメイン知識の欠如はドキュメンテーションのクオリティーの低下を招き、それはそのまま自身の評価の低下に結びつきます。
コツコツと自分が属する業界の知識とドメイン知識を増やすことでドキュメンテーションスキルを高めていきましょう。
誰かに説明を聞いてもらう
ドキュメンテーションを始めたものの、いまいちまとまりに欠ける場合は一度誰かに説明を聞いてもらうことを強くおすすめします。
ドキュメンテーションに自信が無い場合、上司に相談するのはドキュメンテーションの後ではなく、企画段階で相談するべきでしょう。
仮に相手から適切なフィードバックが望めない場合であっても、一度誰かに話すことで自分の中で整理され、確実にドキュメンテーションのクオリティーは上がります。
また、誰かに説明を聞いてもらうことを通して、自分のドキュメンテーションを行う際に欠けている視点にも気づくことが出来るので、その場限りのクオリティーアップのみならず、スキル自体を上げることにも繋がるというわけです。
さいごに
いかがだったでしょうか。
本記事ではドキュメンテーションとは何かからドキュメンテーションのコツとドキュメンテーションスキルを上げる方法を紹介させていただきました。
ぜひ本記事を参考にみなさんもドキュメンテーションスキルを上げて、つよつよビジネスパーソンを目指してください!