子供が病気や怪我で具合が悪くなると、そばで見ている親は本当に心配ですよね。
休日や夜間などすぐに受診できる時間帯でない場合は、救急を受診するべきかどうか迷うこともあるのではないでしょうか。
- 救急車を呼ぶべきか迷ったとき
- 時間外に病院を受診すべきか悩んだとき
上記のように困った場合は、電話で専門家に相談できる救急安心センター事業(♯7119)やこども医療でんわ相談(♯8000)に相談してみましょう。
今回は、子育て中の世帯は覚えておきたい『#7119』と『#8000』についてまとめました。
子育て中の方は、子供の病気や怪我で受診のタイミングに悩んだときにいつでも活用できるように、ぜひ頭に入れておきましょう。
救急安心センター事業(#7119)とは
一つ目に紹介するのが、救急安心センター事業(#7119)です。
消防庁の取り組みにより、平成19年より一部の都道府県で開始されました。緊急性の高い状態の傷病者に対してできるだけ早く救急車が到着できるようにしたり、あらゆる傷病者が適切なタイミングで医療機関を受診できるよう支援することが目的とされています。
現在、徐々に実施地域が増えてきています。
利用できる地域にお住まいの方は、電話やスマホから『#7119』とプッシュすると各都道府県の救急安心センター窓口に繋がります。
電話口には医師・看護師等の専門家が待機しており、症状の聞き取りをしてくれます。
- すぐに病院に行った方がよいかどうか
- 救急車を呼ぶべきかどうか
- どの病院をどういった手段で受診したら良いか
上記のような、判断に迷う場合に相談するのが良いでしょう。
相談した内容から緊急性が高いと判断された場合には、そのまま救急車を出動させてくれます。
緊急性が高くないと判断された場合には、受診可能な医療機関を案内したり、受診のタイミングについてのアドバイスを受けることができます。
家族や身近な人が具合が悪くなって救急要請すべきか迷った時に、直接医療の専門家と相談できるのはとても安心感がありますね。
相談は基本的に全ての年齢の人が対象ですが、地域によっては15歳以上の人を対象とし、15歳以下の子どもはこのあと紹介する#8000への相談を薦めている場合もあります。
なお、治療中の病気の治療方針や、医薬品の使用方法、育児・介護・健康相談などは受け付けていません。あくまでも緊急時に受診や対応を迷った場合に利用しましょう。
こども医療でんわ相談(#8000)は15歳以下の子供が対象
子供に特化した救急電話相談として、こども医療でんわ相談(#8000)が挙げられます。
こども医療でんわ相談(#8000)は、主に夜間や休日に子供の具合が悪い時に、保護者が専門家に電話で相談できるサービスです。電話やスマホから『#8000』とプッシュすると各都道府県の相談窓口に繋がります。
平成16年に一部の県でスタートしました。徐々に拡大され、平成22年からは全国で実施されるようになっています。名前の通り子供専用の電話相談であり、生まれたばかりの赤ちゃんから中学生までの子供に対応しています。
状況を伝えると、子供の症状に合わせて以下のような内容を小児科医師・看護師が電話で教えてくれます。
- 子供の症状に応じた対処方法
- 受診の目安
- 症状観察のポイント
『#8000』では小児科医や研修を受けた看護師が、保護者の心配な気持ちを受け止めながら対応してくれます。
小児医療の専門家に相談ができるのは親としてありがたいですね。
ただし、『#8000』は育児相談は行っておりません。子供の病気や怪我で対応に迷った時に相談しましょう。
#7119と#8000の実施地域と対応時間について
『#7119』と『#8000』はとっても心強いサービスであることがお分かりいただけたかと思います。
ここからは、それぞれの実施地域と電話に対応してもらえる時間帯についてみていきましょう。
#8000は全都道府県で実施だが#7119は一部地域のみ
『#8000』は2022年に全国で実施されるようになりましたが、『#7119』は実施されてない地域もあり、対応地域を徐々に増やしている状況です。
総務省消防庁のホームページに、『#7119』の実施地域が詳細に記載されています。
お住まいの地域で『#7119』を利用できるかどうか知りたいときは、消防庁のホームページを確認するか、地方自治体の案内をチェックしてみましょう。
利用できる時間帯は?
それぞれの実施時間は異なっています。確認しておきましょう。
救急安心センター事業(#7119)は24時間365日体制
救急安心センター事業(#7119)は原則24時間365日体制です。地域によっては夜間と休日のみ利用できるところや、土日祝日で実施時間が違うところもあります。
お住まいの地方自治体のホームページや広報を確認してみることをお勧めします。
こども医療でんわ相談(#8000)は夜間帯に対応
こども医療でんわ相談(#8000)は基本的に19時〜翌朝の8時ごろまで利用できます。地域によっては24時間利用できる地域や、土日祝日の昼間も対応しているところもあります。
厚生労働省のホームページに都道府県別の子ども医療電話相談事業実施状況が記載されているので、確認してみてください。
子供の怪我や病気で連絡すべきなのはどっち?
ここまで『♯7119』と『♯8000』の概要を述べてきました。では子供の怪我や病気の際にはどちらにかければ良いのでしょうか。
結論を言うと、お住まいの地域によって異なります。
確認してきたように、電話相談サービスは地域によって実施状況や利用できる時間帯が違うので、お住まいの都道府県はどの時間帯に、どの電話相談が利用できるのかを把握しておくと安心です。
また、それぞれの特徴を知っておくとどちらにかけるかの判断をしやすいかと思います。特徴を下記にまとめてみました。
- 実施地域が限られているのでそもそも実施されているのか確認が必要
- 全年齢に対応している
- 原則24時間365日利用できる(一部地域では利用できない時間帯あり)
- 救急に直結しているので緊急度が高い場合すぐに救急の出動要請をしてもらえる
- 小児科医師・看護師が対応するので子供特有の症状、特に0歳から1歳の幼い子供の場合はより詳しく状況を相談しやすい
- 家庭でできる対処方法や、観察すべきポイントを詳しく聞ける
- 電話の受付は休日と夜間のみの地域が多い
- あくまで相談・助言を目的とする(症状が重篤ですぐに救急車が必要な場合は119番通報をしましょう)
筆者は子供が4ヶ月の頃、予防接種をしたその日の晩に高熱を出して『#8000』に相談したことがあります。
子供が産まれてから発熱が初めてだったため、かなり心配しました。電話では「ワクチンの副反応の可能性が高いから、水分が取れていれば翌朝まで待って、翌日下がらなければ受診してください」とアドバイスをしてもらいました。実際に翌朝には解熱してすっかり元気になっており、受診しなくても大丈夫でした。
知識はあっても実際にその場面になると焦るものです。相談できる相手がいるのはとてもありがたいと感じました。
#7119と#8000に電話したら伝えるべきこと
『#7119』や『#8000』をプッシュして電話がつながったら、電話に出たスタッフには何を伝えれば良いのしょうか。
状況にもよりますが、以下のようなことを踏まえるとスムーズに状況が伝えられます。
- 今回具合の悪い子供は何歳か
- 医療機関を受診しているかどうか
- いつごろからその症状があるのか・怪我をしたのか
- 現在はどのような状態か
- 今までに気になった症状や、治療中の病気があるかどうか
「このまま自宅で様子を見ていて大丈夫か」「家庭でどういったケアをすればいいか」「どのような点を観察すればいいのか」など、不安なことや疑問に感じている点はしっかり相手に伝えることが大切です。
#7119と#8000を利用する際の注意点
『#7119』と『#8000』を利用する上で押さえておいた方が良い注意点があります。繰り返しになる点もありますが、以下にまとめました。
- 健康相談や医薬品の使用方法、現在かかっている病気の治療方法等の相談は受け付けない
-
電話相談では、基本的に緊急時の病気や怪我で受診に迷う相談者の参考となるようなアドバイスを行うため、診断や治療に関しての相談はできません。小児の発育相談も受け付けていません。普段の健康や育児に関しては、該当の相談窓口に相談するようにしましょう。
- 電話をかけた県内の担当部署につながる
-
電話を発信した都道府県のセンターにつながるため、お住まいの隣の県にいる場合などは適切なご案内ができないことがあります。
- 案内された医療機関を受診する前に、その医療機関に電話をすること
-
電話相談では医療機関に受診の問い合わせをしてくれない場合が多いので、アドバイスを受けた後に自分で受診をするときは、直接医療機関に連絡をしましょう。
- 新型コロナウイルス感染症に関する相談については窓口を確認しておこう
-
新型コロナウイルス感染症に関しての相談は、緊急度の判定のみで受診できる病院の案内は行っていない場合があります。地方自治体における専用の窓口を確認しておきましょう。
- 混み合った時間帯は電話が通じないこともある
-
時間帯によっては電話が混み合って通じないことがあるようです。そんな時は後述するツールが役に立ちます。
電話が繋がらない場合に利用できるツールを知っておこう
『#7119』『#8000』は、時間帯によっては相談が集中し、電話をかけてもつながりにくくなることもあるようです。
その場合は、時間をずらして再度かけるか、以下のツールも参考にしてみてください。子どもの急病で困ったときの対処法や、受診できる医療機関を調べられます。
- こどもの救急(ONLINE-QQ)
- 救急医療情報システム
- こども救急ガイドブック
ひとつずつ説明していきます。
こどもの救急(ONLINE-QQ)
こどもの救急(ONLINE-QQ)は、日本小児科学会が作成しているホームページです。「こどもの救急」で検索エンジンで検索すると出てきます。生後1カ月から6歳の子どもを対象に、受診判断の目安となる情報をネット上で得ることができます。
サイドバーの「気になる症状」から症状を選んで、子どもの様子で当てはまる項目のチェックボックスを選択します。すぐに結果が表示され、様子を見るか、すぐ受診するべきかどうかが分かります。
その他にも、子どもの事故にあったときの対応や乳児の心臓マッサージの方法の解説、この後で述べる都道府県別の救急医療情報システムの紹介もあるので、ぜひ参考にしてみてください。
救急医療情報システム
救急医療情報システムは、救急隊員が、昼夜を問わず傷病者を現場から医療機関へ搬送するのを支援するために各都道府県に設置されているシステムです。各地域で緊急時に受診できる病院を探すことができます。都道府県ごとにホームページのフォームは異なります。
Googleなどの検索エンジンで「○○県、救急医療情報システム」と検索すると見つかります。先ほどのONLINE-QQや、日本小児科医会のページから探すこともできます。
子ども救急ガイドブック
こどもの救急(ONLINE-QQ)と同じように、病院を受診するかどうか、自宅で様子を見るときのポイントを知ることのできるガイドブックです。
都道府県ごとに小児科医会や地元の小児科医が作成し、配布されています。冊子をPDFにしてホームページに掲載しており、家庭でダウンロードすることもできます。
前述のこどもの救急と似ていますが、地域別に発行されていることもあり地元の情報も多く掲載されています。地域の小児救急医療機関のリストもあり、受診できる病院を探す時にも役に立ちます。
日本小児科医会のホームページに各県のガイドブックのURLが記載されています。
こんな症状があれば迷わず119番通報を
受診を迷う場合は#7119や#8000や先ほど紹介したオンラインで利用できるツールが使えますが、緊急性が高いと思われる場合は迷わず119番通報をして救急車を呼びましょう。
厚生労働省ホームページには、119番通報をするべき症状について記載されています。
ここに挙げた症状以外にも、明らかに緊急度が高いと判断した場合は救急要請をしましょう。
- 顔色が明らかに悪い・くちびるの色が紫色
- 頭を強くぶつけて、出血が止まらない、意識がない、けいれんがある
- 呼吸が弱い・激しい咳やゼーゼーして呼吸が苦しそう
- 手足が硬直している
- 激しい下痢や嘔吐で水分が取れず食欲がなく意識がはっきりしない
- 激しいおなかの痛みで苦しがる
- 便に血が混じった
- 意識がない、またはおかしい
- ものを喉に詰まらせて呼吸が苦しい、意識がない
- 生後3ヶ月未満の乳児の様子がおかしい
- 交通事故にあった(強い衝撃を受けた)・高いところから落ちた など
参考:厚生労働省 上手な医療のかかり方.jp https://kakarikata.mhlw.go.jp/kakaritsuke/urgency.html
救急車を要請したら、救急隊員の指示に従って落ち着いて対応しましょう。
まとめ:子供の病気・怪我には親の感覚を大切にして、落ち着いて対応しよう
今回は、子供が急な病気や怪我で受診を迷った際に相談できる『#7119』と『#8000』や、その他知っていると安心なツールを紹介しました。
子供をみているのは、いつもそばにいる家族です。「これはおかしいな」「心配だな」という親の感覚を大事にしていただきたいと思います。もし親が緊急性が高いと思った場合は、迷わず119番通報をしてください。
子育てには不安がつきものです。ぜひ今すぐお住まいの地域のホームページやパンフレットを確認し、緊急時に相談できる窓口や実施内容をチェックしておきましょう。