- 生理痛を和らげる方法を知りたい
- 生理痛薬はどうやって選んだら良い?
- 生理痛で受診すべき目安はある?
生理痛に関して、上記のような悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
生理痛がひどいと、学業や仕事、日常生活に支障が出たり、毎月憂鬱な気分で過ごさなければならなかったりと、女性の大きな悩みのひとつとなります。
この記事では、生理痛の原因や家庭でできる対処法、生理痛薬の仕組みや選び方、受診をすべき目安を解説しています。
つらい生理痛を抱えてる方は、ぜひ参考にしてみてください。
生理痛の基礎知識
生理とは、子宮の内側を覆っている子宮内膜がはがれて、血液と一緒に体外に排出される現象のことです。
そして、生理痛は、生理に伴うホルモンの変化や、経血を排出するために子宮が収縮することに伴って生じます。
生理痛の原因
生理痛の主な原因は、「プロスタグランジン」というホルモンの過剰分泌です。
それ以外にも、精神的なものや生理以外の病気など、いくつかの要因が重なっている場合もあります。
プロスタグランジンとは、ホルモンの一種です。子宮を収縮させるはたらきがあります。
プロスタグランジンの分泌量が多いと、子宮が強く収縮するため、下腹部や腰の痛みが生じやすくなります。
また、プロスタグランジンは子宮を収縮させるだけでなく、痛みや炎症にも関与しています。
生理ときには腰痛や吐き気など、腹痛以外の症状も同時に起こることがよくあるのはそのためです。
生理痛の症状
生理時には、プロスタグランジンや、女性ホルモンのひとつであるエストロゲンの作用で、さまざまな症状が起こる場合があります。
- 下腹部痛
- 腰痛
- 頭痛
- 胃の痛み
- 吐き気・嘔吐
- めまい
- 下痢 など
冷えによる血行不良や、精神的、身体的ストレスが原因での自律神経の乱れによる血行不良が原因で生理痛が悪化することもよくあります。
血行が悪くなるとプロスタグランジンが骨盤内に滞ってしまうためです。
生理中には体を温めたり、睡眠不足や過度な緊張は避け、できるだけゆったり過ごすことで全身の血流を良くすることが大切です。
生理痛の症状を和らげる生活の工夫
繰り返しになりますが、つらい生理痛をやわらげるためには、体の血行をよくすることが大切です。
血行を改善し、生理痛を和らげる効果のあるおすすめの習慣を紹介します。
- 体を温める
- 食べ物の選びかたに配慮する
- 適度な運動
- リラックスタイムを作る
とくに冷えは禁物です。生活の中で少しずつ意識してみてください。
体を温める
体を温めることは、生理痛の緩和に非常に有効です。血液の流れをよくするとともにリラックス効果も得られます。
入浴はシャワーだけにせず、できる限り湯船につかって体を温め、リラックスしましょう。
生理中には湯船に入りたくないという方は、お風呂より少し熱めのお湯で足湯を試してみるのもおすすめです。
また、ひざかけやレッグウォーマー、腹巻きを利用して普段から下半身を冷やさない心がけも大切です。
食べ物の選びかたに配慮する
生理中にはとくに、体を温める食べ物や飲み物を意識して摂取することをおすすめします。
積極的に摂りたいものの例を紹介します。
- 生姜
- ビタミンB群が多い食材(赤みの肉・魚など)
- カリウムが多い食材(果物やさつまいもなど)
- 鉄分が多い食材(レバーやほうれん草など)
- 大豆製品
- カフェインを含まないハーブティー
- ココア
- ホットミルク
野菜をたっぷり入れた味噌汁や鍋は、体も温まり、栄養バランスも整うためおすすめです。
逆に、生理中には冷たい飲み物やアイスなど体を冷やす食べ物や飲み物はできる限り避けましょう。
適度な運動
下半身の血行が悪くなると生理痛の悪化に繋がるため、適度な運動で体を温めることは生理痛の緩和に有効です。
さらに、ジョギングやウォーキングなどの軽い有酸素運動はリフレッシュにもなります。普段から運動が好きな方におすすめです。
骨盤や股関節の周りの筋肉を動かしたり、足の付け根の筋肉を伸ばすことを意識してストレッチするのも効果的です。
ただし、生理痛がひどいときには無理をせず、まずは体を温めながら休息をとりましょう。
リラックスタイムを作る
強いストレスや不規則な生活でホルモンバランスが乱れると、生理痛の症状が悪化しやすいことが分かっています。
ホルモンバランスを整えるためにも、きちんと睡眠時間を確保し、体を休めることは非常に大切です。
入浴や、好みのアロマなどを利用して、心身ともにリラックスする時間をつくることもおすすめします。
リラックス効果のあるラベンダーのエッセンシャルオイルは、生理痛の緩和に効果的です。
生理痛薬の選び方
生理痛がつらいときは、我慢ぜす、手軽に手に入る市販の生理痛薬を使うのもおすすめです。
自身に合った生理痛薬を選ぶために考慮すべきポイントを挙げました。
- 頭痛を伴う生理痛の場合
- 吐き気を伴う場合
- 普段から胃腸が弱い方の場合
- 15歳以下の場合
- 日中に眠くなりたくない場合
それそれのパターン別に紹介します。
頭痛を伴う生理痛の場合
生理のときの頭痛は、プロスタグランジンだけではなく、女性ホルモンのエストロゲンの影響もあると指摘されています。
生理時には、エストロゲンの分泌量が急激に減少します。
それに伴い、脳内の血管を収縮する働きがあるホルモンであるセロトニンも減少します。
脳内の血管が拡張するため、頭痛が起きやすくなります。
このような頭痛には「無水カフェイン」という成分の効果が期待できます。
カフェインには、眠気や疲労感を軽減する効果に加え、血管の拡張をおさえ、頭痛を軽くし、頭をすっきりさせる作用があります。
ただし、カフェインは、コーヒーやドリンク剤、風邪薬などにも含まれていることがあるので、過剰摂取には注意が必要です。
吐き気を伴う場合
生理時に吐き気を感じる場合もあります。吐き気の主な原因は、プロスタグランジンです。
プロスタグランジンは、子宮だけでなく胃を収縮させる働きがあります。
分泌されるプロスタグランジンの量が多すぎると、胃の不快感を覚え吐き気が出ることがあります。
生理時の胃の不快感や吐き気を軽くしたい場合は、プロスタグランジンの生成を抑える成分が含まれている薬がおすすめです。
- ロキソプロフェン
- イブプロフェン
上記を主成分とする市販薬を選びましょう。
ただし、これらの成分は摂取すると胃を刺激し、胃が荒れやすくなるという欠点もあります。
市販薬の中には、胃の粘膜を保護する成分も含まれているものもあります。選ぶときの参考にしてみてください。
普段から胃腸が弱い方の場合
普段から胃腸が弱く、強力な鎮痛剤を飲むことに抵抗がある方には、「アセトアミノフェン」を主成分とする市販薬がおすすめです。
アセトアミノフェンは、脳の痛みを感じる部分に働きかける鎮痛解熱成分です。
先ほど紹介したロキソプロフェンやイブプロフェンなどと比較すると、胃腸障害が起きにくいのが特徴です。
ただし、副作用が全くないというわけではありません。
胃腸が弱い方は、胃への刺激をできるだけ減らすため、空腹時の服用は避けるなど工夫が必要です。
15歳以下の場合
小学生、中学生が服用する場合、市販の鎮痛剤を選ぶ際に注意が必要です。
市販の医薬品には対象年齢が定められています。
小中学生の生理痛には、先ほど紹介したアセトアミノフェンを主成分とし、成分、容量ともに15歳以下に適応しているものを選びましょう。
高校生以上であれば、基本的には大人と同じ商品を服用できます。
市販薬のパッケージに対象年齢や用法用量が記載されているので、必ず確認してください。
日中に眠くなりたくない場合
生理痛薬の中には、主成分の鎮痛効果を高めるために配合されている成分のために、眠気が生じることがあります。
たとえば次のような成分です。
- アリルイソプロピルアセチル尿素
- ブロモバレリル尿素
仕事や学校があり、日中眠くならない市販薬を使いたい場合は、これらの成分が入っているものは避けましょう。
薬のパッケージに注意事項として、眠くなる可能性があることが記載されている場合が多いです。
購入前に確認してみてください。
処方薬と市販薬の違いとは
医療機関でもらう薬は、医師の診断のもと、医師が処方箋を出して、薬剤師が調剤した薬です。
これを「医療用医薬品」と呼びます。
これに対し、薬局で自分で購入できる薬のことを「一般用医薬品」と呼びます。
医療用医薬品と一般用医薬品、それぞれ性質が少し異なります。
医療用医薬品の特徴
医療用医薬品の第一の目的は、病気に有効であること、すなわちよく効くことです。
そのため、医療用医薬品は、一般用の薬品に比べて効き目が強く、副作用の心配も大きくなります。
どの薬をどの分量で、どれくらいの期間服用するべきかについては、医師が診察して決めています。
継続的なフォローも必要となってきます。
一般用医薬品の特徴
一般用医薬品の場合は、年齢や体格などさまざまな人が同じ薬を使用するため、問題が生じないよう、安全であることが最優先されます。
薬の有効成分の含有量は、成分が同じでも医療用医薬品に比べると少なめになっているものが多いです。
また、一般用の医薬品には、同時に多くの症状に対応できるよう配合を工夫されている商品も多くあります。
便利な面もありますが、眠気など都合の悪い副作用が生じることもあるため、状況に応じて慎重に選ぶ必要があります。
生理痛薬を使うときの注意点
市販の生理痛薬を使用するときは以下の点に注意しましょう。
- 痛みを感じたらすぐにに服用する
-
痛みを感じた時点で、早めに服用することで、痛みの原因となるプロスタグランジンの生成が速やかに抑えられます。
我慢をすると、痛みの元となるプロスタグランジンが大量に分泌し続けることになるため、効果を感じづらくなります。
- きちんと時間を空けて服用する
-
1日に何度も生理痛薬を使用する場合は、服用時間をきちんと空けましょう。
時間を空けずに飲むと、有効成分が体内にあるうちに足されることになります。
身体に負担がかかり、腎臓や胃腸障害などのリスクが高まる恐れがあります。
受診するべき生理痛の症状とは
生理痛があまりにひどいときや、生理痛にともなう症状がなかなか改善しないときは、病気が隠れている可能性もあります。
気になる症状がある場合は我慢せず、早めに婦人科を受診しましょう。
- 生活に支障が出るほど痛みが強いとき
- 出血量が多すぎるとき
- 貧血の症状があるとき
上記の症状がある場合は、早期に受診することをおすすめします。
生活に支障が出るほど痛みが強いとき
市販の鎮痛剤をを使用しても対処しきれないほど痛みが強い場合、子宮筋腫や子宮内膜症、子宮腺筋症などの疾患が隠れている可能性があります。
とくに子宮内膜症と子宮腺筋症は、放置すると卵巣嚢腫になる恐れがあるため、できる限り早急な対処が必要です。
できる限り早めに医療機関を受診することをおすすめします。
受診をする際には、可能であれば基礎体温、痛みの程度や出現した症状、薬を飲んだタイミングなどをメモして持参すると、診察時に役に立ちます。
出血量が多すぎるとき
生理の際の出血量が異常に多い状態を、「過多月経」といいます。
個人差もあり、経血量が多いかどうかを判断するのは難しいところではありますが、次の症状に当てはまる場合は過多月経の可能性があります。
- ナプキンが1時間もたない場合
- 経血の中に血のかたまりがたくさん含まれる場合
- 量の多い期間が8日以上続く場合
過多月経は、子宮内膜症、子宮腺筋症、子宮筋腫などが原因となっている場合があります。
貧血の症状があるとき
出血量が多かったり、生理の周期が短かったりした場合、鉄欠乏性貧血が起きやすくなります。
赤血球の中に含まれるヘモグロビンは、全身へ酸素を送り届ける働きをしています。
貧血になると、酸素運搬の担い手であるヘモグロビンが少なくなり、全身が酸欠状態に陥ります。
- めまい
- 動悸・息切れ
- 立ちくらみ
- 疲れやすい
- 顔色が悪い など
上記のような症状が見られます。
また、貧血状態では体内の鉄が不足するため、爪が薄く割れやすくなったり、口角炎や肌荒れが起こったりすることもあります。
とくに子宮筋腫、子宮内膜症を患っていると出血量が増え貧血になりやすいです。
貧血の症状が疑われる方は、医療機関を受診して相談しましょう。
まとめ
この記事では、生理痛の原因や家庭でできる対処法、生理痛薬の選び方を紹介しました。
生理痛は女性にとって身近なものです。しかし、つらい症状を毎回我慢されている方も多いです。
市販の生理痛薬を選ぶ際には、自身の症状に合わせて適切なものを選んでくださいね。
また、寝込んでしまうほど症状が重い場合や、貧血の症状があるときは、我慢をせずに、医療機関を受診することをおすすめします。