プロテインは現在、アスリートだけでなくさまざまな人が利用していますが、子ども向けの「ジュニアプロテイン」というものもあります。
ジュニアプロテインと通常のプロテインの違いは、ジュニアプロテインは小学生から中学生の栄養補給を目的としていることです。そのため、カルシウムやビタミンDなど、子どもたちがより必要とする栄養素が強化されています。
今回は、ジュニアプロテインに馴染みのない方も多いと思いますので、ジュニアプロテインの特徴や効果、飲むタイミングなどを解説していきます。
ジュニアプロテインの効果とは?
ここからはジュニアプロテインの効果について解説していきます。
成長期の栄養補助の役割がある
身長を伸ばすために重要な栄養素は、軟骨の材料となり骨を伸ばす働きをする「たんぱく質」と、伸びた軟骨を骨に固める「カルシウム」の2つです。子どもには、摂取する栄養素だけでなく、「育てる」ための栄養素も必要です。特に、骨の形成に欠かせないカルシウムは、小学校高学年になると大人よりも多くの量を摂取する必要があります。
子どもの健やかな成長に必要な栄養素をしっかり摂るためには、タンパク質や脂質などの大栄養素だけでなく、ビタミンやミネラルなどの微量栄養素もしっかり摂れるような食事にすることが重要です。バランスのとれた食事は、大栄養素と微量栄養素を十分な量含んでいる必要があります。
さらに、魚や赤身の鶏肉、豆類など、低脂肪でアミノ酸を多く含むタンパク源を取り入れることが重要です。カルシウムについては、牛乳、ヨーグルト、チーズなどの乳製品や、オレンジジュース、シリアルなどのカルシウム強化食品がよい摂取源となります。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」によると、成人のカルシウム摂取量は650〜700mg、12〜14歳の子どもは男子1000mg、女子800mgが推奨されています。
健康に携わる専門家は、健康な骨と筋肉の発達を促進するために、子どもたちが日常的に適切な量の身体活動をすることを勧めています。ランニング、バスケットボール、水泳、サッカーなどの運動は、骨を丈夫にするだけでなく、体力を全般的に向上させることができます。
さらに、スポーツをすると汗でカルシウムが排出されるため、より意識してカルシウムを摂取することが必要です。子供の成長を促すためには、汗などの体内分泌物で失われた分を補うように、カルシウムの摂取量を確認することが大切です。
また、ジュニアプロテインは成長促進剤ではないので、「身長を伸ばす」というと誤解を招き、「身長が伸びる成長期に必要な栄養素を補う」と言った方が正確です。ただし、たんぱく質とカルシウムは一緒に摂ることができるので、栄養補助食品としては便利な食品です。身長を伸ばすには骨を伸ばす必要がありますが、カルシウムの作用は骨を硬くすることなので、骨の成長を直接助けるわけではありません。
つまり、カルシウムは成長を促進するものではないのです。しかし、カルシウムやその吸収を助けるビタミンDが不足すると骨の成長が阻害されますが、その場合はカルシウムやビタミンDを補給することで正常な成長を取り戻せる可能性があります。このような場合、栄養は量だけでなく、適切な割合で摂らなければ体に有益な効果は得られません。
例えば、カルシウムは、食事からの摂取が不十分なため、サプリメントが必要になることがあります。カルシウムを過剰に摂取すると、腎臓や他の臓器に負担をかけ、他の健康障害を引き起こす可能性があります。したがって、身長を伸ばしたい人は、資格のある専門家の指導のもと、バランスの取れた栄養と限られた量のサプリメントを選ぶ必要があります。
スポーツに取り組んでいる子供のカラダづくりに
近年、外遊びの減少により、子どもたちの体力が低下していると言われています。スタミナやパワーをつけるためには、たんぱく質をはじめとする適切な栄養補給が重要です。
2009年に米国スポーツ医学会が発表した「栄養とスポーツパフォーマンス」に関する声明によると、これまでに報告された研究データに基づく推奨タンパク質所要量は、アスリートでは体重1kgあたり1.2gから1.7gとされています。体重1kgあたり1.2~1.7gのたんぱく質というと少ないように思われますが、これは普通の人と比べると約1.5~2倍必要な量です。
若いアスリートにとってより適切なタンパク質の摂取方法を確立するために、資格を持った栄養学の専門家による食事カウンセリングが有効な場合があります。さらに、様々な形態のタンパク質栄養製品を毎日の食事に取り入れることができます。
例えば、水、ヨーグルト、スムージーに混ぜて飲むプロテインパウダーは、タンパク質とその他の必須栄養素の摂取量を増やすことができます。また、牛乳由来のホエイプロテインには、筋肉のタンパク質を形成するために必要な必須アミノ酸が多く含まれています。週に2、3日しか練習しないのであれば、2倍とは言いませんが、少し多めの栄養を意識して摂るとよいでしょう。
もし、お子さんの食事が少ないと感じたら、ジュニアプロテインを使ってみるのもよいでしょう。さらに、肉や魚などのタンパク質を摂取することで、ビタミンやミネラル、炭水化物などを十分に摂取することができ、さらに完全な栄養を摂取することができます。
ジュニアプロテインの必要性
ここではジュニアプロテインの必要性について解説していきます。
子供の食生活や体質に合わせて活用する
ジュニアプロテインは、食事で不足しているものを補うための栄養補助食品です。食事から十分な栄養を摂取できているのであれば、ジュニアプロテインを飲む必要はないでしょう。逆に言えば、タンパク質やカルシウムといった基本的な栄養を摂取できる食品なので、ジュニアプロテインを飲まない手はありません。
安全性に関しても、ジュニアプロテインは厳しい検査を行い、安全性と品質の基準をクリアしています。製造過程では、厳選された原材料のみを使用し、十分な栄養を摂取できるように認定もされています。もちろん、目安量を超えて飲めば過剰摂取のリスクはありますが、過剰摂取が良くないのはご飯でも牛乳でも、どんな食べ物や飲み物でも同じことです。
それでもジュニアプロテインは、食生活を完全に変えなくても、必要な栄養素を毎日補うことができるという点で、かなりメリットがあります。子どもによっては好き嫌いがあって栄養が偏ってしまうこともありますし、スポーツを頑張っている子は食欲がなく、運動量に見合った食事ができないこともあります。また、毎日栄養バランスの良い食事をすることは難しいので、そのような場合に栄養補助食品として利用するのも良いでしょう。
栄養の吸収を良くし、必須ビタミンやミネラルの健康維持にも役立ちます。さらに、ジュニアプロテインは空腹感のコントロールをサポートするように設計されていますので、他の甘い製品の不健康な間食につながる可能性のある突然の欲求を管理するのにも有用です。サプリメントは、必要か不要かよりも、その人の体質や食生活によって、使うか使わないかを判断するとよいでしょう。
豆乳や牛乳とはどのように違う?
下の表は、栄養価の高い牛乳と豆乳の対比を示したものになります。
栄養素 | ジュニアプロテイン | 牛乳 | 豆乳 |
---|---|---|---|
カロリー | 50~70kcai | 134kcal | 92kcal |
タンパク質 | 6~8g | 6.6g | 7.2g |
脂質 | 0.5~1.0g | 7.6g | 4.0g |
炭水化物 | 5~8g | 9.6g | 6.2g |
カルシウム | 400~500mg | 220mg | 30mg |
豆乳に関しては、意外かもしれませんが、カルシウムはあまり含まれていません。
このように比較してみると、ジュニアプロテインは脂肪の摂取を抑えながら、タンパク質とカルシウムを効率的に摂取できることがわかります。そのため、筋肉をつけるためのサプリメントというよりは、「成長のための総合栄養補助食品」と言えるでしょう。
食事量が少ない方は、牛乳や豆乳と一緒に摂取することで、よりしっかりとタンパク質とカルシウムを補給することができます。一方、加工食品であるため、甘味料や香料などの添加物をある程度摂取する可能性があり、摂り過ぎによる健康被害の可能性には注意が必要です。このほか、サプリメントに含まれる脂質や炭水化物などの成分量から、1日に1~2食以上摂取してもメリットがない可能性があるという研究結果もあります。
したがって、結局のところ、節度を守ることが重要であり、「たくさん摂れば摂るほど良い」というわけではないことを子どもたちに伝えておくことが望ましいと言えます。食事で摂取するタンパク質やカルシウムの量を増やすには便利ですが、完全食品の代わりとして使用するのではなく、保護者の方はお子様がジュニアプロテインを推奨量だけ摂取するように心がけてください。
ジュニアプロテインの摂取タイミング
ここからはジュニアプロテインの摂取タイミングについて解説していきます。
運動後30分~1時間以内に摂取する
筋肉疲労の回復や体力づくりのためには、運動後できるだけ早くタンパク質や糖質を補給することが重要です。この栄養補給のタイミングは、運動後30分~1時間以内が理想的で、運動後2時間程度で栄養摂取量が普段と同じ程度に戻ると言われています。しかし、運動直後の食事は環境によっては難しい場合もあります。
そのような場合は、おにぎりやパンなどの軽食とタンパク質を用意しておくと便利です。帰宅に時間がかかるときや、遠征のときにも有効です。このようなバランスの取れた食事プランを利用することで、健康的な食生活を実現し、回復とパフォーマンスに必要な燃料を摂取することができます。
子供の毎日のおやつ代わりに
間食が多いお子さんには、間食に飲ませるのも一つの方法です。ジュニアプロテインは甘いので、温かい牛乳に溶かして飲めば空腹をしのげますし、甘いジュースや脂肪分の多いスナック菓子よりも栄養補給がしやすいのです。また、体を大きくするために食事の回数を増やしたり、鶏肉や魚、牛肉など従来のタンパク質の代替品として利用することもできます。
また、パンケーキやスコーン、パウンドケーキ、あるいはマフィンやビスケット、ドーナツなどの焼き菓子に混ぜると、さらに栄養価が高まり、味にパンチが効いて楽しいですよ。また、フルーツやナッツ、オーツ麦を加えても、より健康的な一日を過ごすことができます。粉末プロテインが苦手な方は、ハチミツやアーモンドバター、チョコレートシロップを加えて甘くすることもできます。
さらに、ジュニアプロテインを使えば、体に必要なビタミン、栄養素、ミネラルを簡単に摂取することができます。
食欲がわかないとき
特に夏場は激しい運動をした後に食欲が落ちやすく、疲れから毎年体重が減ってしまうというのは本末転倒な話です。そんなときは、食べやすい麺類や酸味の効いたあっさりしたおかずを用意し、たんぱく質はプロテインで補うとよいでしょう。エネルギー補給と必須ビタミン・ミネラルの補給には、複合糖質、良質なタンパク質、新鮮な果物、野菜などを豊富に含むバランスの良い食事が理想的です。
さらに、複数のビタミンを摂取することで、エネルギーレベルを向上させることができることが、いくつかの研究で示されています。脱水症状になると、運動による疲労がさらに進行するため、水分補給も重要です。運動後の水分補給には、ココナッツウォーターやスポーツドリンクがおすすめです。
成長に必要な栄養を補える「ジュニアプロテイン」
ジュニアプロテインについての説明で、少しは認識が変わったでしょうか。タンパク質とカルシウムは、ジュニアアスリートにとって特に重要な栄養素ですが、それ以外にも考慮すべき重要な成分がたくさんあります。例えば、ナトリウムやマグネシウムなどの電解質やミネラルは、体内のエネルギー貯蔵や循環を健全に保つために、ジュニアアスリートには欠かせない栄養素です。
さらに、炭水化物もアスリートの食事に欠かせない要素です。これらの栄養素は、普段の食事環境やアスリートの体調に合わせて、必要に応じて利用するとよいでしょう。栄養摂取が不十分な場合は、マルチビタミンやミネラルの補給を強くお勧めします。ジュニアアスリートは、正しい摂取により、身体能力を最大限に発揮し、目標を超えてさらなる高みを目指すことができるのです。